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海老蔵、「伊達の十役」は鷹揚の御見物を! [海老蔵礼賛]

2010年の初歌舞伎にやっと行ってまいりました!
歌舞伎は昨年八月の五右衛門以来で、昼・夜観るのはさらに久しぶり。なのに前日、中ジョッキ5杯飲んで、その後二合徳利を燗で二本空けて、ホテルに帰ってさらにビール飲んだという…。朝の4時半ごろ目が覚めたら、それから寝られなくなってイカン、イカン、このままでは客席で寝てしまう!しかし「寝ないと!」と思うほど眠れなくなって、仕方なく着替えて7時からホテルの朝食サービスをガシガシと食べて(我ながら元気〜)、朝のニュースショー等見てると9時頃眠くなり(ここで寝たら遅刻!)少し早めに出て、銀座三越で、お弁当などをしこたま買い込んで(夜の分も♪)いざいざ、新橋演舞場へ!

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今回のポスター。妖しい雰囲気バリバリっすね〜。

新橋演舞場 初春花形歌舞伎
2010年1月16日 昼の部

昼の部はケチって三階席。まずは寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)です。今ちょうど「歌舞伎という宇宙」(渡辺保/筑摩書房)を読んでいて、「対面」について、写真もモンタージュもない時代に親の仇に出逢った青年の複雑で劇的な心境、その宿命的出逢いのシュチュエーションを「対面」という言葉で呼んだ、とか、その青年の心情というか情念を二百数十年伝えてきて、その中で「型」が抽象化され、純粋化され、様式化され今日に至った、というような事をオモシロイナーと思いながら頁をめくっていたので、海老蔵さんが出ていなくても観るのを楽しみにしていたらららら…。主役の五郎は獅童さんなんスけど、なんか弱いっちゅうか、軽いっちゅうか。爽やかかなんか知らんけど、荒事になってへんやんけ、って感じですよね。なので、舞台装置や衣裳など様式美に溢れてお正月らしい雰囲気を醸し出しているんだけど、全体に空虚というかつかみ所のないフワフワした対面だったなぁ。中では右近さんの工藤祐経がいいように思った。歌舞伎ようわからんくせに何をもって良く思えたのかというと、なんとなく祐経だけどんな人かわかった、という。春猿さんはお綺麗でした。

30分の休憩を挟んで黒塚(くろづか)です。猿之助さんの家の芸を右近さんが初役で。嫉妬の情から人食い鬼になっちゃった老女が仏にすがろうと思ったのに、簡単に約束を破った阿闍梨に怒って鬼の本性出して対決する、というあらすじ。
番附の「みどころ」読んだ時から、前半はほとんど動きのない中侘しい老女と悪鬼の内面性を要求される難しい場面だって…寝そう〜!っていうか「閨(ねや)の中、覗いたらあかんで」って女に言われたのに(わかりやすいフリ)強力(ごうりき)が覗いちゃって血の海見つけて大騒ぎ、な場面あたりから記憶が朧で。しかし、その強力(猿弥さんなんだけど、お上手!)が逃げて来たのと老女が鉢合わせするとこから目覚めて(スイマセン)このあたりから俄然盛り上がって楽しくなります!歌舞伎オーケストラが楽しめる演目で、三味線がアグレッシブで好き。ギュイ〜ンギュイ〜ンと弾いてて面白いですね。鬼になって戦う右近さんも体力勝負!?真ん中辺寝てたくせに、昼の部ではイチに押しちゃいます。また拝見したい演目です。

昼の最後は、歌舞伎十八番の内、春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)です。以前に拝見したのは襲名の時の歌舞伎座で(上演記録を見ると、その前に平成7年9月に歌舞伎座で踊ってるんですね〜。なんと胡蝶はぼたんさんと松也さんですって。これ、観たいですね!歌舞伎チャンネルでやらないかな。)、「ずいぶんデカイ弥生やなぁ」と思ったけれど、今回はほっそりなさっているので、お綺麗で、紫地の着物もよくお似合い。恥ずかしがって一旦ひっこんだりするのも可愛らしいです。しかし、時々「男」が背中に出ますねぇ。一瞬可憐な時とかもあるのですが。でも全体に安心して観られるというか、この演目も歌舞伎オケを楽しめて、胡蝶も可愛い。後シテで獅子の精になって登場して悠然と毛振りも危なげないですね〜。ただ私の好みでいえば「連獅子」の方が盛り上がるというか、毛振りの必然を感じるというか。同じ役者が弥生と獅子の精を演じているオドロキ、といったとこでしょうか。客席全体が熱狂、というところまでは行きませんでした。

昼の部は海老蔵さんを、というよりは歌舞伎を楽しみました♪って感じ。そして、いよいよ、いよいよ、夜の部ですがな〜

猿之助十八番の内、伊達の十役
海老蔵さんのでずっぱりで、十役早替りで宙乗り相勤め申し候ですから、客席も海老蔵ファンでいっぱい。キレイでおしゃれな女の子や男の子も多いし、もちろん我々中年族も(心が)キラキラだし、ジジババだって、みんな大好き☆ですもんね〜。
幕が開いた時の拍手の熱量が違います。雷神不動の時みたいにまず海老蔵丈から写真パネルを使った筋説明がございまして、上演前に最後まで説明しちゃうって、ホント歌舞伎って不思議な演劇。いつもの十倍の声援を、ですって。海老蔵さんが演じるのは以下の十役です。

赤松満祐/まんゆう/弾正の父。クーデター失敗で死。
仁木弾正/にっきだんじょう/父の遺志を受け継ぐ。
絹川与右衛門/累と不義。でも忠臣。
足利頼兼/足利家当主。色ボケ
土手の道哲/どてのどうてつ/悪坊主
高尾太夫/たかおだゆう/頼兼のカノジョ
腰元 累/かさね/高尾太夫の妹
乳人 政岡/まさおか/頼兼の息子の乳母
荒獅子男之助/あらじしおとこのすけ
細川勝元/菅領(裁判官みたいなシゴト?)

発端、序幕、二幕目まで続けてです。
発端、弾正が出て来て髑髏にささっている鎌を取ったら満祐の霊が現れて、天下を覆そうという遺志をつぐよう妖術を授ける。それを聞いていた与右衛門は阻止する覚悟をする。そこへ弾正現れ争う。…わかります?主要キャストが全部海老蔵さんなんで、ずっと早変わりをしてます。なんかソワソワしてお芝居に集中できないです。序幕ではさらに、道哲頼兼が加わり、さらに、高尾太夫と増えていきます。舞台上に複数いないといけないときは、影武者が同じ衣裳で顔見えないように演じるんですが、それも不自然で、ず〜っとそれの連続。落ち着かないし、一人で女の声出したり男の声出したり、高くしたり、低くしたりも馬鹿馬鹿しく思えて、途中で退屈してまた睡魔に襲われてしまいました(花道の早替りは見逃しませんでしたよ)!
あ〜あ、なんか危惧した通り…。ワタシは歌舞伎にアクロバティックなものを求めていないんだけど。海老蔵さんの四ノ切は感動したけど、スーパー歌舞伎で観た骨寄せの岩藤は感心しなかったもんなぁ、とかいろんな思いがぐるぐるアタマを回ります。歌舞伎楽しめないと、お金と時間の両方のダメージがあるので落胆が激しいんですよね。私のガッカリをあざ笑うかのように海老蔵さんは早替りをくり返していました。

やっと休憩になって、超ブルーでお弁当(美味しいものはおいしいデス)。口上で海老蔵さんが「(早替りいっぱいだから)まだるき点もあるでしょうが、鷹揚の御見物を」的なことを仰ってたのをうっかり忘れておりましたよ。
そして、一階の売店の奥に舞台写真コーナーが♪早速拝見して、舞台楽しめない分、写真買っちゃおう!と全種8枚購入。獅子の精と、口上と、高尾・累姉妹の亡霊が入っているので、伊達の方は5役しかないですね。女3役と頼兼と与右衛門がないです。

昼食後は奥殿。政岡は今まで、玉三郎さん、藤十郎さん、菊之助ちゃんで拝見しておりました。んで、海老蔵さんにうまいことできるのかいな、とかなり危惧しておりまして、疑心暗鬼で席についておりましたら、あら〜、え〜、海老蔵さん、なんだかスゴクいいっ!悲劇的かつ線が太いの。おおっぴらにできない任務があって、一歩間違えば藩がお取り潰しになるかもしれない責任をぐっとこらえて淡々としているとことか。それに、海老蔵さんのお母さんぶりがステキなのです(ウチのハハの若いときにちょっと似てます)。海老蔵さんがお父さんなら、子どもが娘の場合は100%ファザコンになってパパ以外の男はみんなしょーもなく思えるだろうし、息子の場合は反発して自滅してグレるか自信なくしてひきこもっちゃうかどちらかのような気がするんですが(ヒドイ妄想のファンですね)、海老蔵ママ、案外いける〜!けっこう細やかに優しくて(千松の相手をしている時の手の仕草とか)そしてかなり強そう。面白いゲームとか発明して一緒に遊んでくれそう♪←政岡じゃない…。
千松と鶴千代が空腹なのに客席の私たちはお腹がいっぱいでゴメンネ。さらに饅頭食べながらご覧になってる人もいたもんね。も〜海老蔵さん、早くメシを炊いてあげてよ!って思ったら「飯炊き」はナシでした。栄御前が現れて、毒入り饅頭を食え、と鶴千代に迫ります。空腹の鶴千代も食べたそう。そこへ千松が身替わりに食べて、いろいろあって弾正の妹の八汐に嬲り殺しにされちゃいます。一人になって嘆きの海老蔵さん、花道で見せる悲憤の表情がものすごく良かったです。いろんな台詞よりもずっと胸にきました。般若のようになって。
全体に今までにみたことない海老蔵さんでした。ハイ、十役の中で私は一番に押します

でも政岡が終わってもホッとできない伊達の十役。床下、荒獅子男之助が出て来たと思ったら、今度は弾正です。政岡を観て、すっかり心満たされたワタクシは早替りも好ましく思えます(現金!)。それに、弾正もよくて、宙乗りで悠然と引っ込む様は敵ながらカッコイイ〜ってやつで、花道の上に透明な道が見えました。顔芸っていうのか、弾正もとても面白い表情をするんですね。えも言われぬ憎々し気な表情や悪い顔をするわけで、その凄みがまた、ハァ、ソレ、超格好いいんですね。キレイなのがスカしてるだけなんて、カスですよね〜。バカですよね〜。弾正、第二位です!

もう、何の心配もありません。序幕で金と時間のムダだったかも…なんて思った私が阿呆です。四幕目には第三位の細川勝元登場です。颯爽としてます。正義の風が吹き抜けるようです(←はじめ落ち込んだ分、のめりこみも激しい)。弾正は裁きで負けちゃうんですが、最後の争いのトコでもいい顔なんです。妖術を破るキーパーソンの与右衛門も登場。ちょっと不思議なキャラクターで、十役の中ではあまり江戸の人っぽくない現代的な感じもする。すんごい大鼠とかも出て来て(面白かった)弾正も頑張るんですが、巳さんにはかなわない、ですね。悪は成敗されて、めでたし、めでたし。最後に物語の終わりと所作事をやるという挨拶が海老蔵さんからありました。万雷の拍手でゴザイマス。

ここでもう8時半くらい。普通なら終演ですよね〜。なのにまだやっちゃいます!大喜利所作事、垂帽子不器用娘(ひらりぼうしざいしょのふつつか)ですって。道成寺がベースになってて、花子の代わりに高尾・累姉妹の霊が出て来て、鐘入りして亡霊となって暴れ回ります(途中で影武者に交代)。そこへ荒獅子男之助が(二人道成寺の時と同じ拵えです。後ろ姿のマッシュルームカットが何度見てもカワイイ)押戻。獅童さんもこのくらいやらにゃ〜イカンよ、と思わず上目線になっちゃう立派な荒事。海老蔵さんの声が劇場中に鳴り響き、ワタクシも大満足でした〜!

久しぶりの海老蔵さんで、最近は大歌舞伎と絡む事が少ないし、今回は早替りというので、ケレンばかり先に立ってお芝居はどうなるのかと、先走っていらぬ心配をしていたら、ぜ〜んぜん心配いらなくて、どんどんと成長して先に進む海老蔵さんがいましたね。海老蔵さんを信頼して、一幕目ももっと(鷹揚に?)楽しめば良かったと後悔しました。来週、ちょっとだけ観られそうなので、また行ってきます!
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